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定年後の「ゆとりある生活費用」の欺瞞?

2008-06-29 08:34:34 | 折々の随想
今日は、極めて生活臭い話を1つ。

いつも見ている「おかねのこねた」さんのブログで、郵便局のパンフレットが紹介されており、その中で、60歳サラリーマン夫婦が定年退職後にゆとりある生活を送るためには月額37.9万円必要と、(財)生命保険文化センターが平成16年に作成した資料に基づき紹介されておりました。(最低生活費は23.3万円だそうです。)

この生活費の数字、どこでもよく見かけますが大体そんなもんだろうとの感覚を、まだ若い方も抱いているのではないでしょうか。

インフレを考慮すればこんなものでは済まないということは別にして、この約38万円というゆとりある生活費用が、筆者が定年退職後(早期でしたが)、5年を経過した段階での実際の生活費の数字と比べて少し違和感がありますので、そこをいつものように少しあぶり出してみたいと思います。

最初に、筆者夫婦の生活はごく平均的なものであることを確認しておきます。それはエンゲル係数が日本人の平均値である18%とピッタリ一致しているためです。(1%分は筆者の酒代で後の17%は食費)

それもその筈、食費といっても朝は野菜サラダ、パン一切れ、ヨーグルト、牛乳にコーヒー、昼は、ビール1缶につまみ少々、夜は、ご飯はほとんど食べずに野菜のおかずや納豆、豆腐といったもの。そして、腹が減る時はパンやうどんを野菜類に代えて食べることもあり、といった、ごくごく普通の、或いは質素とも言える内容ですので、18%というのは妙に納得できます。

さて、ここからは月38万円という「ゆとりある生活」費用の欺瞞点を少々暴いていきたいと思います。

食費以外にどうしてもかかる費用があります。

まず光熱水道代。ごく普通に節水やら節電をしながら生活しているつもりです。(クルマは週1度程度バケツの水で洗います。シャワーは毎日浴びないと家人に叱られ、かえって心の病気になりやすいので、これは節約は無理。)

次に電話・インターネット代。ひかりIP電話に加入し遠距離でも安く抑え、もちろんインターネットも使い放題。そして、携帯は夫婦で定額のソフトバンクのホワイトプランですから、これも1人あたり月1000円になりません。(ネットレは生活の糧でもあり、これ以上の節約は不可でしょう。)

そして、健康保険(+介護保険)これも定額で何ともならない。社会保険料や税金の類も同じ。

民間保険料ですが、現役時代からは相当に削り、若い頃から掛けていたがん保険が2口で年10万円と全体の半分を占めておりますが、これはまさかの癌などにかかった時の高額医療費補助の貴重な「支援金」です。(これもこの程度は致し方ない。)

クルマの維持費ですが、車検などメンテナンス費用の他に、保険料がかかりますが、これとて筆者の場合は最上級の割引があるため年5万円少々。それでも月々のガソリン代数千円よりも高くなっております。(クルマの保険料以下のガソリン代ですので、これ以上の節約も限界かと。)

その他、教養娯楽・スポーツ・交際などにかかる費用がありますが、筆者の分だけですが、年平均で17万円でした。(CDなど買っておりますが、このくらいは老後の趣味としてはご勘弁を。多分現役時代より相当に少ない筈。)

以上、食費を除いて、いわば文化的な生活を営むのに必要な費用と、まさかの時の最低限の保険代、そして国民の義務の税金・社会保険料などの合計が、それでも年平均値で185万円もかかっておりました。

ここで、冒頭のゆとりある生活費の38万円から逆算してみます。

A)食費などエンゲル係数分の支出:38万円X0.18=6万8千円(郵便局ケース)
B)その他、上記の必需費用:年185万円÷12ヶ月=15万8千円(筆者のケース)

この他に、日常の生活費がかかります。例えば、衣服代、日用雑貨、それに家人のお小遣い、そして結構大きな出費が普通にかかる医療費です。(がんなど特別にかかる医療費は除く)これも夫婦2人の生活でとりたてて贅沢な生活をしているとは思えません。

C)このエンゲル係数分以外の日常生活費:年99万円÷12ヶ月=8万3千円

以上、A)、B)、C)の合計金額が30万9千円となります。ゆとりある生活費の38万円に対しては、後月7万円しか残されておりません。

ところが、既にお分かりのように、これらの費用には、住居費やら家財・家電の買い替え費用が含まれておりません。(クルマの買い替えは、生活保護者には認められておりませんので、ここではとりあえず「贅沢品扱い」として除外しておきます。)

家賃がかかるか、持ち家があったとしても、その維持費がかかります。テレビや冷蔵庫が壊れれば、これは買い替えざるを得ません。こうした費用を残り月7万円で何とか賄えるかも知れませんが、これは「ゆとりある生活」ではなく、「ごく普通の生活」のための費用ですね。(ちなみに筆者の場合は月平均8万円程度かかっておりました。)

そうなると、一体全体「ゆとりある生活」のための費用はどこから捻出されるのだろう?

例えば、趣味の出費(カメラ好きなら最新デジカメ、旅行好きなら年1回程度の旅行の費用など)は、我慢しろと言われれば、我慢は出来るものの、ゆとりある生活を標榜するのならチョイとおかしいですね。

それから、普通にかかる医療費は上に含まれておりますが、癌や脳卒中などで倒れると数10万円単位の出費となります。これは入っておりません。(ちなみに、白血病の薬代が週2万円の自己負担額とは、最近聞いた本当の話です。)

きっと、郵便局のパンフレットが言う「ゆとりある生活」の定義からは、こうした重篤な病にかかるようなお方は除外されているのでしょう。何故なら、病に倒れればゆとりもヘチマもないからです。

最後に、最低生活費の23万3千円というのは、C)の費用を7千円に抑えるか、光熱水道代や電話、インターネット、保険などを半分の8万円程度に抑えるかしないと成り立たなくなりますが、ここでハタと気づきました。エンゲル係数というのは、貧乏人ほど厳しく効いてくることを。

23万3千円X0.18=4万2千円となります。ゆとりある生活者の6割の金額です。1日あたり1400円。一食あたり夫婦で450円。夕食の牛丼を二人で分ける食事です。

一体全体、(財)生命保険文化センターは、これでどうやって夫婦二人が健康に命を長らえることができると考えているのだろうか?

あっ、そうだったのか! だから一刻も早く生命保険に加入しましょう。そうしないと後に残された妻又は夫が大変なことになりますよ。死亡保険金は高ければ高いほど残された人が「幸せ」になれますよ、と。。。

全く、この世の中、裏には裏がある。これ以上騙されないように心せねば。。。

追伸:平成22年8月28日のブログを参照し、総務省のデータをご覧下さることをお勧めします。

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